企業が使用するソフトウェアは、業務運営において欠かせない資産ですが、その管理が適切に行われていないと、法的リスクやコストの無駄、さらには業務の非効率化を招く可能性があります。そこで重要になるのが「ライセンス管理」です。

今回は、ライセンス管理の基本的な考え方やその重要性、そして効果的な進め方についてわかりやすく解説します。ライセンス管理がなぜ企業にとって欠かせないのか、具体的な実践方法についても詳しく見ていきましょう。

ライセンス管理とは

ライセンス管理とは、企業が使用しているソフトウェアのライセンス(使用許諾)を適切に管理し、法的な問題を避けるためのプロセスやシステムを指します。

具体的には、ソフトウェアの使用状況が変化した際に情報を定期的に更新し、実態を正確に把握する取り組みが基本です。例えば、ライセンスの追加購入やクライアントPCの移動、廃棄などがあった場合、それに応じて情報を更新することが求められます。

そのほか、保有しているライセンス数と実際に使用されているライセンス数の照合も行います。

ライセンス管理が重要な理由

ここでは、ライセンス管理がなぜ企業にとって重要なのかを3つの観点から解説します。

コンプライアンスリスクの回避

ソフトウェアは著作物であり、その利用には必ずライセンス契約が伴います。契約内容を超えて使用したり、無断でコピーして使用したりした場合、それは著作権侵害にあたり、法的な罰則や多額の違約金が発生する可能性があります。

さらに、ソフトウェアベンダーによる監査で不正利用が確認されれば、企業の信頼を大きく損なうおそれもあります。適切なライセンス管理は、こうしたコンプライアンス違反のリスクを回避し、企業の信用を守るための取り組みともいえるのです。

コスト最適化

ライセンス管理は、コスト面でも大きな効果を発揮します。正確にライセンスを管理することで、実際には使われていないライセンスを洗い出し、不要な契約を削減することが可能です。

また、利用状況を把握し、必要な数だけ契約を維持することで、余計なコストの発生を防ぐことができます。無駄な支出を抑えることは、IT投資の効率化につながり、企業全体の経営資源を有効活用するために欠かせません。

運用効率の向上

ソフトウェアは形のない無形資産であるため、ハードウェアのように目視で台数や状態を確認できません。そのため、ライセンス証書や契約情報を正しく紐づけ、システムとして仕組み化された管理が必要となります。

ライセンス管理を通じて全社的に利用状況を可視化することで、必要な情報にすぐアクセスできる環境が整い、業務効率も大幅に向上します。適切な管理体制を構築することは、企業全体のITガバナンスを強化する上でも大きな役割を果たします。

ライセンス管理の進め方

ライセンス管理をスムーズに進めるには、正確な現状把握、社内ルールの整備、そして定期的な監査と見直しが欠かせません。ここでは、ライセンス管理を効率的に進めるステップについて説明します。

1. 現状把握

まずは、社内で使用しているすべてのソフトウェアとライセンスの棚卸しを行いましょう。現状を正しく把握することで、その後のルール策定に役立ち、リスク管理が容易になります。

具体的には、現在どのソフトウェアがどのように使われているのかを明確にし、それぞれの使用状況と契約内容を照らし合わせて過不足や不正利用の有無を確認します。この段階で、ライセンスの過剰または不足が判明した場合は、その後の調整も必要です。

なお、この現状把握は定期的に行いましょう。ライセンスの過不足や不正利用の早期発見が可能となり、リスクを最小限に抑えやすくなります。

2. ルール整備

次に、ソフトウェア導入や利用時の社内ルールを整備しましょう。特に監査が発生した場合、社内ルールが不十分だと対応が困難になるため、統一的な基準を設けることが不可欠です。

利用部門や担当者ごとに申請・承認フローを定め、各部門が必要とするソフトウェアの導入過程を明確にすることが理想的です。

また、契約内容やライセンス数の管理、導入申請から承認のプロセスまでを統一することで、企業全体の管理体制が強化されます。

3. 定期的な監査・見直し

ライセンス管理は定期的な監査と見直しが必要です。

年次や四半期ごとに、利用状況と契約内容を突き合わせて監査を実施し、ソフトウェアの使用状況に変化がないかをチェックしましょう。ライセンス数が適切か、過剰利用や未使用のライセンスがないかを確認することが重要です。

契約更新期限を把握し、必要に応じてライセンス数を調整することで、無駄な支出を防ぎ、コストを最適化できます。

ライセンス管理において発生しがちな課題

企業においてソフトウェアライセンスを適切に管理することは重要ですが、実際には思いのほか課題が発生しがちです。主に抱えやすい課題について解説します。

ライセンス形態の複雑性による管理負担

ソフトウェアライセンスは契約形態が複雑で、専門知識なしには適切な管理が難しい場合がほとんどです。

同じメーカーの製品であっても、購入方法が異なればまったく別のプランになることがあり、各ソフトウェアの使用許諾契約を正確に理解する必要があります。

担当者には、これらの契約内容を把握し、ライセンス契約を遵守した運用ができているかを確認する高度な専門知識と柔軟な対応力が求められます。

管理対象の増加と業務の煩雑化

デバイスとソフトウェアの数が増加するほど、ライセンス管理の業務は煩雑になります。

特に、近年は一人が複数のデバイス(PC、スマートフォン、タブレット)を持ち、それぞれに同じソフトウェアをインストールして利用するケースが増加しています。また、部署ごとにソフトウェアを購入するケースも増えており、人事異動や組織改革に伴ってデバイスが人とともに移動するため、管理が難しくなっているのです。

このような状況では、組織内すべてのソフトウェアライセンスを管理するのに膨大な工数が必要となります。

契約の妥当性判断の難しさ

ライセンスは、契約の妥当性を継続的に監視することが難しい面もあります。

契約の妥当性とは、余分なライセンスを購入していないか、購入したソフトウェアが実際に利用され業務の最適化に貢献しているかを継続的に確認することです。しかし、ライセンスは無形資産のため、PCなどのハードウェアと異なり現物と台帳を突き合わせての確認ができません。

そのため、管理者が手動で利用状況を把握するようなライセンス管理方法は実行が難しく、組織全体では管理が困難になってしまいます。

ライセンス管理を効率化する方法

ライセンス管理を効率化するためには、適切なツールの導入や外部サービスの活用が重要です。それぞれの効率化の方法を紹介します。

ツールの活用

IT資産管理ツールを導入することで、ライセンスの使用状況やインストール数を自動で把握できます。手動での棚卸し作業が不要になり、更新漏れや超過利用を防止できます。

また、契約情報やライセンス証書を一元管理することで、契約更新のタイミングを逃すことなく、常に適正なライセンス数を維持できます。

外部サービスの利用

自社でライセンス管理を行う場合、棚卸しや監査対応に多くの工数がかかることがあります。そこで、外部の専門サービスへ依頼する方法も検討しましょう。外部サービスを活用することで、専門家による適切な管理が行われ、リスク回避が可能になります。

具体的には、PCの管理を一括で依頼できるLCMサービスがおすすめです。LCMサービスでは、ソフトウェアの購入から導入、管理、保守、廃棄までを一貫してサポートするため、担当者の工数削減に役立ちます。無駄な支出を抑えるとともに、コンプライアンスリスクも低減できるため、適切なライセンス管理を実現しやすくなります。

LCMサービスをご検討の場合は、日本システムケアにもご相談可能です。導入前のキッティングや導入後の保守運用、最後の回収・廃棄までライフサイクル全体にわたってサポートしますので、IT部門のリソース不足にお悩みの企業様は、ぜひ一度ご検討ください。

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まとめ

ライセンス管理は、企業にとってソフトウェアを適切に運用するための欠かせない取り組みです。正確な管理を行うことで、不正利用の防止、コストの最適化、コンプライアンスの強化など、多くのメリットが得られます。

しかし、ライセンス管理には手間がかかることも多く、効率化を図るためには、ツールや専門的なサービスの活用が不可欠です。特に、社内のリソース不足を感じている企業様は、LCMサービスなどの外注サービスを検討することをおすすめします。

より正確かつ効率的なライセンス管理を実現し、企業のIT資産を最大限に活用しましょう。