PCの入れ替え・リプレイスを円滑に進めるためには、データ移行をスムーズに進めることが重要です。適切な手順通りに進めるほか、業務データの損失や情報漏洩の防止策を徹底しましょう。今回は、安全で効率的なデータ移行の手順と注意点を解説します。

PCのデータ移行前にやるべき準備

PCのデータ移行をミスなく進めるには、計画的な事前準備が必要です。

まずは、安全なデータ移行に必要な準備項目を確認していきましょう。

移行したいデータを整理しておく

データ移行の第一歩は、移行対象となるデータの整理です。

下記の手順にともなって、業務に必要な文書、画像、動画などのファイルを分類し、重要度に応じて整理しましょう。

1.重要な業務文書を特定する
2.大容量ファイルを確認し、必要がなければ削除する
3.重複ファイルがあれば削除する
4.バックアップを作成する

過去3年分の顧客データや、進行中のプロジェクトファイルを最優先で整理し、古い会議議事録や使用頻度の低い参考資料は後回しにするなど、優先順位付けすることも必要です。

また、データ移行の方法によってはバックアップを自動で取れる場合もありますが、万が一のトラブルに備えて、この時点でバックアップを作成しておきましょう。

ログイン情報をメモしておく

業務で使用する各種アプリケーションや、Webサービスのログイン情報をメモしておきましょう。

自動ログイン機能を使用している場合、ID・パスワードを把握していないケースも多く、事前確認が不可欠です。

なお、記録したログイン情報は安全な方法で保管しましょう。例えば、パスワード管理ツールを使用すると、暗号化されたデータベースにログイン情報を一元管理できます。

有料ソフトのライセンスを確認する

PCにインストールされている有料ソフトのライセンスを確認しましょう。

多くの場合、ライセンスは1台のPCにつき1つですが、OEM版とリテール版が存在します。

OEM版は他のデバイスへの移行ができないため、新たにソフトを購入する必要があります。リテール版であれば、移行元のPCからアンインストールし、移行先のPCで認証を行えば引き継ぎ可能です。

ライセンスの確認方法は、下記の通りです。

ディスクやUSBメモリで購入した場合 製品パッケージやカードに記載されたライセンスキーを確認
オンラインで購入した場合 登録メールアドレスに送信されたライセンス情報を確認

なお、移行先のPCでライセンスの再認証を行う場合、Microsoftアカウントを使用する場合があります。事前にアカウントを作成するか、すでにある場合はログイン情報を確認しておきましょう。

(メールクライアントを使用している場合)メールデータをまとめる

Gmailなどのフリーメールであればデータ移行の必要はありませんが、Outlookなどのメールクライアントを使用している場合、データ移行が必要です。

データのエクスポート・インポート機能を活用して、データファイルを作成しておきましょう。

例えばOutlookの場合、「.pst」ファイルにデータをエクスポートし、新しいPCにインポートすれば、メールボックス全体を移行できます。

使用中のソフトが新しいPCで使えるかを確認する

新しいPCのOSで現在使用中のソフトウェアが動作するかも、事前確認が必要です。古いソフトウェアは、最新のOSに対応していない場合があります。

動作確認では、下記の4つを中心にチェックしましょう。

・ソフトの対応OS
・必要なシステム要件
・ライセンスの互換性
・代替ソフトウェアの検討

例えば、Windows 11への移行を検討している場合、Microsoft公式のPC Health Checkアプリを使用して、現在のPCとソフトウェアの互換性を確認できます。

互換性に問題がある場合は、ソフトウェアの更新や代替ソフトの検討が必要です。

【Windows 10から11】PCのデータを移行する方法

PCのデータ移行は、予算や移行するデータの量に応じて、最適な方法を選択する必要があります。

主に、下記の5つの方法があげられます。

・外付けHDDやUSBメモリで移行する場合
・クラウドストレージを使用する場合
・LANケーブル(有線)を使用する場合
・Windowsのデータ移行機能を使う場合
・データ移行ソフトを使用する場合

それぞれ詳しく解説します。

外付けHDDやUSBメモリで移行する場合

外付けHDDやUSBメモリを使用した移行は、最も一般的な方法です。

下記の手順で実施します。

1.旧PCで移行したいファイルを選択
2.外付けストレージへコピー
3.新PCへ接続してデータを移動

ただし、3つの注意点があります。

1つ目は、外付けストレージのデータ容量を事前に確認しておく必要がある点です。容量が不足すると、作業の中断を余儀なくされ、データ破損のリスクが高まります。

2つ目は、信頼性の高い外付けストレージを使用しなければならない点です。信頼性の低い製品では、突然の故障やデータ読み取りエラーにより、重要な業務データを失うリスクがあります。

3つ目は、コピー中は電源を切らないことです。データ転送中の予期せぬ電源断は、ファイルの破損や外付けストレージの故障の原因となります。

クラウドストレージを使用する場合

WindowsPCではOneDriveが便利です。OSと連携しているため、操作が簡単で信頼性も高くなっています。

OneDriveでの移行手順は、下記の通りです。

1.旧PCでOneDriveへサインイン
2.移行したいファイルをOneDriveフォルダへ移動
3.アップロード完了を確認
4.新PCでOneDriveへサインイン
5.必要なファイルをダウンロード

OneDriveの無料プランでは5GBまでのストレージが提供されますが、大容量のデータ移行には、Microsoft 365サブスクリプションの検討をおすすめします。

1TBのクラウドストレージが利用可能になり、Office製品も含まれるため、コストパフォーマンスに優れています。

LANケーブル(有線)を使用する場合

大容量データの高速移行に適した方法のひとつで、比較的安定した転送速度が特徴です。

LANケーブルを使用した設定手順は下記の通りです。

1.LANケーブルで両PCを直接接続
2.ネットワーク設定で共有を有効化
3.新PCに共有フォルダの作成
4.旧PCから新PCにデータの転送開始

例えば、カテゴリー6以上のLANケーブルを使用すれば、1Gbpsの高速転送が可能です。

ファイアウォールの設定を一時的に変更し、新旧両方のPCのIPアドレスを手動で設定すれば、より安定した接続を実現できます。

Windowsのデータ移行機能を使う場合

Windows標準機能の「バックアップと復元」を使用する方法です。システム設定も含めて移行できる利点があります。

実行手順は、下記の通りです。

1.旧PCの「バックアップと復元」を起動
2.バックアップの作成
3.新PCで「バックアップから復元」を選択
4.設定の確認と調整

Windows 10では、PCの環境を丸ごと「写真」のように保存できる「システムイメージ」機能が搭載されています。OSの設定やインストールしたアプリケーション、作成したファイルなど、現在使用中のPCの環境をすべて保存できる機能です。

システムイメージの作成は、「設定」から「更新とセキュリティ」、そして「バックアップ」を開いて実行します。

作成したイメージを新しいPCに復元すれば、アプリケーションの再インストールや設定の手間なく、以前の環境をそのまま再現できます。

データ移行ソフトを使用する場合

専用ソフトを使用すれば、より確実なデータ移行処理が可能です。また、自動的にバックアップを取ってくれるほか、ワンクリックでデータ移行が完了できるため、最も手軽な方法といえます。

ソフトには、データ・ファイルのみを移行する製品と、アプリケーションなどの環境ごとコピーできる製品、個人設定の移行も可能な製品など、それぞれ違いがあります。搭載の機能や仕様を確認して、適したものを選びましょう。

そのほか、対応OSや移行方法も確認しておくと安心です。

PCのデータ移行時における注意点

PCのデータ移行では、データの安全性の確保と適切な時間管理が必要です。計画的な準備と正確な作業により、トラブルを未然に防止できます。

最後に、具体的な注意点を解説します。

外部デバイスを使用する場合は管理を徹底する

USBメモリや外付けストレージを使ってデータを移行する場合は、下記の点に注意してください。

・紛失防止策を講じる
デバイスは社内の鍵付き保管庫など、安全な場所に保管しましょう。

・デバイスの持ち出しはできるだけしない
社外秘のデータが入ったデバイスは、持ち出しを最小限にし、紛失しないように管理してください。

情報セキュリティを確保する

データ移行時のセキュリティ対策を怠ると、機密情報の漏洩リスクが高まります。下記の対策を実施してください。

・暗号化技術を利用する
データ移行時には暗号化を行い、不正アクセスを防ぎましょう。

・権限を持つ担当者のみが作業を行う
データ移行作業は、適切な権限を持つ担当者に限定しましょう。

時間に余裕があるときにデータ移行をする

データ移行は、時間のかかる作業です。データ容量や使用するPCの性能によっては、数時間以上かかる場合もあるため、余裕のあるスケジュールを組みましょう。

慌てて作業を行うと、データの破損や紛失の原因になります。業務時間とは別にデータ移行の時間を設定することをおすすめします。

また、データ移行中に電源が切れると、作業が中断し、データが破損するリスクがあります。特にノートPCを使用する場合は、下記の点に注意してください。

・バッテリーを十分に充電しておく
移行作業の途中で電源が切れることを防ぐために、バッテリーが十分に充電されていることを確認してください。

・電源に接続して作業する
バッテリー切れを防ぐために、電源アダプタを使用してください。

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まとめ

PCのデータ移行は、企業の業務継続性とデータセキュリティに直結する重要な作業です。本記事で解説した準備と手順を参考に、計画的な実施を心がけましょう。

なお、データ移行に自信がない場合や、より確実で安全にデータ移行したい場合は、専門業者に依頼するのもひとつの手です。日本システムケアの「LCMサービス」でも、データ移行作業を行っており、担当者の手を止めることなく、スムーズなPCの入れ替えが完了します。

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