ビジネス用PCを選ぶ際には、業務内容に応じて適切なスペックを見極めることが重要です。今回は、初めてPCの導入を担当する方へ向けて、ビジネスPCのスペック選びのポイントを職種別に解説します。
目次
ビジネス用PCのスペックを見極めるための4項目
ビジネス用PCの適切なスペックを検討する際は、主に下記の主要パーツに注目しましょう。
プロセッサー(CPU)
PCの頭脳であるCPUは、処理速度を左右する重要なパーツです。高性能なCPUほど複数の作業を同時にスムーズに処理できます。
インテル製CPUの場合、一般的なビジネス用途ではCore i3以上が目安となります。エクセルやワードなどの基本的なオフィスソフトの利用であれば、十分対応が可能です。
システムエンジニアやデザイナーなど、より高度な処理を行う部署ではCore i5以上が推奨されます。複数のアプリケーションを同時に動かしたり、データを分析したりなどの作業を行う必要があるためです。
動画編集や3Dデータなどの負荷のかかる処理を行う専門職には、Core i7以上のCPUがあると作業効率が大幅に向上します。
メモリ(RAM)
メモリはデータを一時的に記憶するパーツで、PCの作業スペースともいえます。容量が大きいほど、同時に複数の作業をスムーズに行えます。
一般的な事務作業であれば4GBのメモリで基本的な処理は可能ですが、最近のソフトウェアは少し重くなってきているため、8GBあれば安心です。
プログラミングやデザイン作業などのクリエイティブ業務には8〜16GBのメモリが適しています。複数のアプリケーションを同時に動かしても、ストレスなく作業できます。
動画編集や3Dモデリングなどの高負荷作業には16〜32GBのメモリがあると快適です。大容量のデータを扱う場合でもシステムが安定して動作します。
ストレージ
ストレージはデータを永続的に保存する場所で、現在はHDDよりも高速で耐久性に優れたSSDが主流です。
作業データを共有サーバーに保存する運用スタイルであれば、256GBのストレージで十分です。ローカルに多くのデータを保存する必要がない場合はコスト削減につながります。
個々のPCにデータを保存する場合や、大容量のファイルを扱う部署では512GB以上を検討するのが望ましいでしょう。足りなくなった場合はクラウドストレージや外付けストレージで拡張することも可能です。
なお、SSDはHDDと比較して、読み書きスピードが非常に速く、起動時間やファイル操作が快適です。また衝撃による故障リスクが低く、動作音も静かでPCの持ち運びが多い場合に適しています。
価格は高めですが、生産性向上と故障リスク低減の観点から長期的にはコスト効率が良くなります。
GPU
GPUはグラフィック処理を担当する部品です。一般的なオフィス業務であれば、CPUに内蔵されたGPUで十分対応できます。
グラフィックデザイン、CAD、動画編集、3Dモデリングなどの視覚的な作業が主な部署では、専用のグラフィックボードの導入を検討すべきです。内蔵GPUよりも高性能なため、複雑な映像処理をスムーズに行えます。
ただし、専用グラフィックボードは高価で電力消費量も多いため、本当に必要な部署にのみ導入するのがコスト効率の面で推奨されます。業務内容を精査した上で、必要性を判断しましょう。
ビジネス用PCに求められる職種別の推奨スペック
ビジネス用PCに求められるスペックは、職種によって大きく異なります。ここでは、各職種に適したスペックを解説します。
営業職
営業職には持ち運びやすく、長時間バッテリーが持続するPCが最適です。顧客先での資料提示やWeb会議がスムーズに行えるよう、適切なスペックが求められます。
▼営業職向け推奨スペック一覧
項目 | 推奨スペック |
CPU | Core i5以上 |
メモリ | 8GB以上 |
ストレージ | SSD 256GB |
GPU | – |
また、営業職は外出先で使用することが多いため、1,2kg以下の軽量なWindowsノートPCが理想的です。バッテリー駆動時間が長いモデルを選ぶことで、充電を気にせず終日の営業活動が可能になります。
一般事務員
一般事務員には資料作成や表計算など基本的なオフィス作業が快適に行えるPCが適しています。過剰なスペックは不要ですが、日常業務がストレスなく行える性能は確保すべきです。
▼一般事務員向け推奨スペック一覧
項目 | 推奨スペック |
CPU | Core i3~Core i5 |
メモリ | 8GB以上 |
ストレージ | SSD 256GB |
GPU | – |
経理事務員
経理事務員は会計ソフトを使用することが多いため、一般事務用より少し高いスペックが望ましいです。
処理速度が速いPCを選ぶことで、月末や年度末の繁忙期も快適に作業できます。
▼経理事務員向け推奨スペック一覧
項目 | 推奨スペック |
CPU | Core i5以上 |
メモリ | 8GB以上(会計ソフトが重い場合は16GB) |
ストレージ | SSD 256GB |
GPU | – |
また、数字の読み間違えを防ぐために、大きな画面サイズのディスプレイを推奨します。数字入力の効率化のためにテンキー付きキーボードも必須です。
デザイナー職
デザイナー職には高性能なグラフィック処理能力と、色再現性の高いディスプレイが必要です。大容量のデザインデータを扱うため、ストレージ容量も重要な選定ポイントになります。
また、Photoshopなどのデザインソフトを使用する場合、高性能なGPUが必要です。グラフィック処理を担当するGPUの性能が高いほど、重いデータの表示などの作業が快適です。
▼デザイナー職向け推奨スペック一覧
項目 | 推奨スペック |
CPU | Core i5以上 |
メモリ | 16GB以上 |
ストレージ | SSD 500GB以上 |
GPU | Radeon™シリーズ、GeForce RTX™シリーズ |
エンジニア職
エンジニア職にはプログラミングや開発環境の構築がスムーズに行えるPCが必要です。開発するアプリケーションやソフトウェアの規模によって、求められるスペックは変動します。
アプリやソフトウェア開発、既存システムの保守を行うエンジニアには、一般的なPCよりも高いスペックが求められます。IDE(統合開発環境)の動作を快適にするためです。
▼エンジニア職向け推奨スペック一覧
項目 | 推奨スペック |
CPU | Webサービスやアプリの開発:Core i5以上
ゲーム開発:Core i7以上 |
メモリ | Webアプリ開発:8GB以上
画像処理やデータベースを扱う開発:16GB以上 複数の仮想環境での開発:32GB |
ストレージ | SSD 512GB |
GPU | Webサービスやアプリ開発:内蔵のGPUで対応可能
3DCGを使用したゲーム開発:Radeon™シリーズ、GeForce RTX™シリーズ |
開発する内容によっては、より高い処理能力が必要になる場合もあります。特に仮想環境での開発やコンパイル時間の短縮を重視するなら、上位モデルを検討すべきです。
ビッグデータを扱う職種(データサイエンティストなど)
データサイエンティストなど大量データを処理する職種には、ハイエンドな性能が必須です。データ分析の処理速度が業務効率に直結するため、高スペックのPCが求められます。
また、GPUの性能はビッグデータ解析などには求められませんが、ディープラーニングを行う場合には必要です。
▼ビッグデータを扱う職種向け推奨スペック一覧
項目 | 推奨スペック |
CPU | Core i7以上 |
メモリ | 32GB以上 |
ストレージ | SSD 1TB以上 |
GPU | – |
スペック要件を満たすビジネス用PCは中古でも入手できる!
限られた予算内でビジネス用PCを導入するなら、中古PCも検討する価値があります。
中古PCを適切に選べば、必要なスペックを満たしつつ、コストを大幅に抑えることが可能です。
中古PCを導入するメリット
中古PCの最大のメリットは何よりも価格の安さです。業務に必要なスペックを備えながら、新品の半額近い価格で購入できる製品もあります。
特に一般事務作業など、高度な処理を必要としない部署であれば、中古PCで十分対応できます。
中古PCの注意点
中古PCを導入する際には、保証内容を必ず確認しましょう。新品PCと比べて保証期間が短いケースが多いため、万一の故障に備えてサポート体制も考慮する必要があります。
また、バッテリーの持続時間が新品より短い傾向があるため、特に営業職など外出の多い部署に導入する場合は注意が必要です。
中古PC選びのポイントについては、こちらの記事も参考になります。
「中古PCの選び方を4つのポイントで徹底解説!」
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まとめ
ビジネス用PCのスペック選びは、業務内容によって大きく異なります。PCの主要パーツであるCPU、メモリ、ストレージ、GPUの選び方を理解し、職種ごとの要件に合わせた選定を行いましょう。
予算に制約がある場合は、中古PCも検討する価値があります。適切なスペックのビジネスPCを導入して、業務のパフォーマンスを最大化しましょう。ぜひ本記事を参考に、自社に最適なPCを導入して業務のパフォーマンス向上に役立ててください。