オフィス用のノートPCを複数台購入する際、コスト削減の選択肢として中古品の導入を検討する企業が増えています。しかし、精密機器である中古ノートPCの導入には、メリットとリスクの両面があり、慎重な判断が求められます。今回は、中古ノートPCの導入における課題とその対策、選定のポイントについて解説します。

「中古ノートPCはやめとけ」といわれる理由

企業でノートPCを導入または入れ替える際、コスト削減の選択肢として中古品があげられます。しかし、「やめとけ」といわれることもあり、信頼できる品質かどうか、セキュリティの問題など、企業担当者としては迷うこともあるでしょう。

まずは、中古ノートPCを導入する際に考慮すべきリスクについて解説します。

なお、中古PCを導入する際の注意事項は、下記の記事でも詳しく解説しています。
企業で中古PCを購入する際の注意点とは?失敗しないためのポイントも解説

バッテリーが劣化している場合がある

中古ノートPCの導入における主な課題のひとつが、バッテリーの劣化です。

信頼性の低い販売店から購入した場合、バッテリー性能が大幅に低下している可能性があります。

バッテリーが劣化していると、本来の駆動時間を確保できず、頻繁な充電が必要です。結果として業務効率の低下を招くだけでなく、バッテリー交換にともなう追加コストが発生するケースもあります。

PC自体の寿命が短い場合がある

PCの重要部品には経年劣化のリスクがあり、使用期間に応じた性能低下や故障の可能性を考慮する必要があります。

特に起こりやすい症状は下記の通りです。

・ストレージ(HDDやSSD)の読み書き性能の低下
・冷却ファンの動作不良
・キーボードの反応性低下

また、過去の使用状況によっては、内部基板の接触不良など、予期せぬ故障が発生するリスクもあります。

現行品よりも性能が劣る場合がある

PCの性能は年々向上しているため、中古ノートPCは最新モデルと比較して処理速度や機能面で劣る場合があります。

特に、最新のOSや業務用ソフトウェアの動作要件を満たさない場合は、業務効率に影響を及ぼす可能性があります。

保証がないことがある

中古品では、メーカー保証期間が終了している場合があることにも注意が必要です。

新品では1~3年の保証が付帯し、故障時も無償で迅速に対応してもらえます。

一方、保証期間外の中古ノートPCでは、故障時の修理費用や代替機器の調達など、予期せぬコストが発生する可能性があります。

中古ノートPCを購入するメリットは?

やめとけといわれる場合もある一方で、中古ノートPCの導入には下記のようなメリットもあります。

・大幅なコスト削減につながる
・一定の品質が保証されている
・生産終了モデルが手に入ることもある
・環境への配慮につながる

それぞれ詳しく解説します。

大幅なコスト削減につながる

中古品のメリットでまずあげられるのは、価格の安さです。新品だと1台あたり数十万円のところ、中古ノートPCなら同等の性能でも安く購入できます。特に、複数台の一括導入を検討する企業にとって、この費用対効果は大きな利点となります。

実際に、リユースPCの回収・販売を手がけている日本システムケアでは、中古PCの入れ替えの総額で1台あたり7万円以上のコスト削減が実現可能です。

一定の品質が保証されている

信頼できる中古PC取扱業者では、厳密な品質管理プロセスを経た製品のみを提供しています。

基本性能、入力デバイス、ディスプレイ品質、各種機能の動作確認など、包括的な検査を実施しており、実務での使用にも十分に対応できます。

生産終了モデルが手に入ることもある

生産終了モデルの入手が可能なため、特定のOSやソフトウェアにも対応できます。

業務上、古いOS対応のソフトを利用する場合なども継続して利用することが可能です。

環境への配慮につながる

中古ノートPCの活用は、電子廃棄物の削減やエネルギーの節約、資源の再利用の促進につながり、環境負荷の低減に貢献できます。

企業として環境への配慮を示すことは、社会的な責任を果たすためにも重要です。また、SDGs(持続可能な開発目標)への取り組みとしても評価されます。

中古ノートPCをおすすめするケース

中古ノートPCの活用は、そのメリットとリスクを踏まえた上で、導入目的や利用環境に応じて判断する必要があります。

特に、下記のような導入シーンにおいて、中古ノートPCの活用が効果的です。

・価格重視で安く手に入れたい
・サブ機としてPCが欲しい
・PCの知識を有する担当者がいる
・前所有者の使用感は気にならない

それぞれを詳しくみていきましょう。

価格重視で安く手に入れたい

限られた予算内でPCを入手する場合、中古ノートPCは有効な選択肢です。

基本的な業務の用途であれば、最新スペックを必要としないケースは多くあります。新品PCほどの性能を求めず、コストを重視する場合には中古ノートPCがおすすめです。

サブ機としてPCが欲しい

主力PCの予備機や特定業務専用機としてPCの購入を検討している場合は、中古ノートPCがおすすめです。

特に、予備機としての運用では、故障リスクを考慮しても初期投資を抑制できる利点があります。

PCの知識を有する担当者がいる

PCのスペックや価格についての知識を有する導入担当者がいる場合、状態の良くない中古品にあたるリスクを回避しやすいでしょう。

適切な販売店、製品を選ぶことができれば、より中古ノートPCのコストパフォーマンスは高まります。

前所有者の使用感は気にならない

外観よりも実用性を重視する場合は、中古ノートPCがおすすめです。

適切な品質管理がなされた中古ノートPCは、実務上必要な機能と性能を確保しつつ、コスト削減を図ることができます。

中古ノートPCをおすすめしないケース

一般的に、下記の条件に該当する場合は中古ノートPCの購入に不向きとされています。

・PCの管理体制が十分でない
・PCの外観も重視している
・システムの安定性が求められる業務で使用したい
・最新スペックのPCを入手したい

それぞれについて、詳しく解説します。

PCの管理体制が十分でない

中古ノートPCを購入する際は、必要スペックの判断や適切な製品の選定が必要です。

そのため、PCの仕様や性能を正確に評価できる体制が整っていない組織では、中古ノートPCの導入にリスクがともないます。

PCの外観も重視している

顧客対応が主体となる部署では、製品の外観も重要な要素となるかもしれません。

中古品の場合、筐体の使用痕や傷、キーボードの摩耗、画面の経年劣化などを完全に避けることは難しく、課題が生じる可能性があります。

システムの安定性が求められる業務で使用したい

リアルタイム処理が必要など、システムの安定性が特に求められる業務を中心とする企業においては、中古ノートPCの導入はリスクとなり得ます。

一般的に、中古ノートPCは新品と比較すると若干故障リスクが高く、予期せぬ故障によるダウンタイムが発生する可能性があります。

しかし、これは必ずしもすべての中古品が故障しやすいということではありません。信頼できる販売店から購入した整備済みの中古ノートPCであれば、故障リスクを大幅に低減できます。

最新スペックのPCを入手したい

大規模なデータ分析や動画編集など、高い処理能力を必要とする業務では、中古品よりも最新機種が適しているケースが多いです。

基本的な業務であれば問題ありませんが、負荷の多い作業をする場合は中古ノートPCのスペックでは足りず、業務に支障が出る可能性があります。

とはいえ、実際には、2〜3年前のハイエンドモデルであれば現行の標準モデルと同等以上の性能を持つ場合も少なくありません。

安心できる中古ノートPCを選ぶコツ

中古ノートPCの導入にあたって機器を選定する際は、いくつかのコツがあります。

下記の観点から、信頼性の高い中古ノートPCを選定する方法を紹介します。

・信頼できる販売店で購入する
・OSのバージョンをチェックする
・スペックや端子を確認する
・保証内容をチェックする
・リユースPC・再生PCを選ぶ

なお、下記の記事では、より詳しく中古PCの選び方を解説しています。
中古PCの選び方を4つのポイントで徹底解説!

信頼できる販売店で購入する

信頼性の高い中古ノートPCを導入するために、専門の取扱業者から購入しましょう。

例えば中古PC専門店では、製品の状態確認から動作テスト、クリーニング、必要に応じた部品交換まで、体系的な品質管理プロセスを確立しています。

詳細な製品情報を開示しているほか、充実した保証・サポート体制も整えているため、安心して購入できます。

また、リファービッシュ作業を施しているリユースPCの販売業者も信頼できる選択肢です。使用済みのPCを専門的な知識と設備を用いて整備し、必要な部品交換や動作検証を実施した上で販売しています。

一方、フリーマーケットやオークションサイトでの個人間取引は、品質管理や動作保証の面で大きなリスクをともないます。製品の状態確認が十分でない可能性が高く、故障時のサポートも期待できないため、業務での使用を前提とする場合は避けましょう。

OSのバージョンをチェックする

搭載されているOSのバージョンとライセンスを確認しましょう。

特にWindowsの場合、サポート期間が終了したバージョンでは、セキュリティアップデートが提供されなくなり、情報セキュリティ上の重大なリスクとなる可能性があります。

また、OSのライセンスが正規のものであることの確認も不可欠です。正規ライセンスでない場合、アップデート時の不具合やセキュリティ上の脆弱性などのリスクが生じます。

スペックや端子を確認する

PCのスペックや端子の確認も大切です。ノートPCのCPUにはいくつかの種類があり、世代によっても性能が異なります。PCの使用目的に見合う性能を備えているかをチェックしましょう。

中古品のなかには現在の標準よりメモリ容量が少ないものや、HDD搭載で動作に時間がかかる機種もあります。快適性を重視するなら、SSD搭載は必須です。

また、HDMIやType-A端子がなく、ケーブル接続ができない古いノートPCもあるので注意してください。

保証内容をチェックする

中古品は新品と比較して不具合や故障のリスクが高い場合があるため、充実した保証内容を提供している販売店から購入しましょう。

一般的な中古PC専門店では、3か月から1年程度の保証期間を設定しており、この期間内であれば製品の不具合や故障に対して無償での修理や交換に対応しています。

また、信頼性の高い販売店では、独自の保証プログラムを提供していることも多く、故障時の代替機貸出や、定期的な点検サービスなど、手厚いサポート体制を整えています。

このため、保証期間の長さはもちろん、保証対象となる部品や不具合の範囲、修理時の対応方法、代替機の提供有無など、保証内容の詳細を必ず確認しましょう。

まとめ

中古のノートPCには、「やめとけ」といわれるようにさまざまなリスクがあります。しかし、正しい選び方をすれば性能や機能に問題はありません。大幅なコスト削減ができるため、中古品も選択肢に入れて考えましょう。

オフィスで使用する中古ノートPCの購入から運用、保守・点検をまでを一括依頼して業務負担を軽減したい場合は、日本システムケアの「LCMサービス」をご検討ください。リファービッシュ作業を施した高品質なリユースPCを提供しています。

故障発生時には、先出しセンドバック方式による代替機交換を実施しております。最短で翌日には代替機を発送しているため、業務の中断を最小限に抑えることが可能です。

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