度重なるPCの不具合や故障に悩まされ、修理か買い替えかの選択を迫られた際に、判断基準のひとつとなるのが耐用年数です。PCの耐用年数は4~5年といわれており、それ以降は故障する可能性が高まります。今回は、PCの耐用年数をはじめ、修理と買い替えそれぞれのメリット・デメリットのほか、買い替え・リプレイスを検討すべきタイミングなどについて解説します。

PCの耐用年数は4〜5年

PCの耐用年数とは、PCが通常の使用に耐え得る期間を指します。税制やPCの物理的な寿命などに基づくいくつかの考え方があり、おおむね下記のように分けられます。

・法定耐用年数
・OSのサポートが終了した時点
・PC(特にHDD)が故障した時点

それぞれの違いをみていきましょう。

PCの法定耐用年数

PCの法定耐用年数とは、減価償却費を計算する際に用いられる法令で定められた指標です。

すべてのPCで一律ではなく、サーバー用PCで5年、ノートPCを含む一般的なPCで4年、ディスプレイや他の周辺機器で5年と規定されています。詳しくは、国税庁のWebサイト上に掲載されている「耐用年数表」で確認できます。

出典:国税庁「主な減価償却資産の耐用年数表

法定耐用年数は、あくまでも会計処理に用いられる年数です。一般的なPCの寿命は約5年といわれており、法定耐用年数が経過した後も使用できます。

法定耐用年数は、PCの最適な更新時期の判断材料としても参考にされています。

なお、固定資産に該当する社内のPCは、取得にかかった費用を法定耐用年数に応じて減価償却しなければなりません。耐用年数に基づく減価償却の方法は、こちらの記事で詳しく解説しています。

PCの減価償却のルールや方法、知っておきたいポイントまとめ!

OSのサポートが終了した時点

Windows OSやmacOSなどに代表されるOS製品のサポート終了時も、耐用年数を考える上でのひとつの基準となります。

セキュリティのアップデートや不具合の修正などをOSの開発元から受けられなくなれば、セキュリティリスクが高まるからです。

例えばWindows OSでは、発売から約10年間が製品サポート期間の目安です。

新しいOSのシステム要件を満たさないといった理由からアップグレードができない場合は、その時点がPCの買い替えを検討してみるべきタイミングといえるでしょう。

PC(特にHDD)が故障した時点

PCのパーツの中でも、特にHDDの故障はPCの耐用年数が迫っていることを示すサインです。

HDDは経年劣化だけでなく、衝撃耐性の弱さなどから故障が多発する傾向にあります。

一般に、HDDの寿命は3〜4年といわれていますが、クラッシュや突然の故障が起こることも少なくありません。もし修理に必要な部品を入手できなければ、買い替えざるを得ないでしょう。

中古PCの法定耐用年数

PCの耐用年数は中古と新品で異なり、通常の法定耐用年数は適用されません。

下記のように法定耐用年数が過ぎている場合と過ぎていない場合に分けて、実際の使用期間を反映させた中古PCの耐用年数が算出されます。

・耐用年数を過ぎている:法定耐用年数×20%
・耐用年数を過ぎていない:(法定耐用年数-経過年数)+(経過年数×20%)

なお、中古PCは価格が10万円以上であれば固定資産として計上され、耐用年数に応じた減価償却が必要です。

価格が10万円以下のPCのように、消耗品費や事務用品費としては処理できません。

PCの耐用年数で「修理する」か「買い替える」かはどう判断する?

通常、企業で使用するPCは、3~4年が買い替えのタイミングです。ただし、PCの不調や故障で業務に支障が出ているケースでは、費用や必要性、データ移行の手間などから総合的に修理か買い替えかの判断が求められます。

下記では、修理か買い替えかの判断に役立つそれぞれのメリット、デメリットを説明します。

PCを修理する場合のメリット・デメリット

故障したPCを修理に出す主なメリットとして、買い替えよりも低コストで済む点があげられます。

メーカーや販売店の保証が適用されれば、無償での修理も可能です。保証の対象外だとしても、多くの場合、買い替えより修理のほうが費用を抑えられます。

さらに、修理後は初期設定やデータ移行などの手間が発生せず、スピーディーに利用を再開できる場合も多くあります。そのため、業務への影響を最小限に抑えられる点がメリットです。

一方で、故障の程度によっては修理費用が高額になる可能性もあります。また、希少な部品を使用する修理では、部品の調達に時間を要して修理期間が長引くことも少なくありません。

そのほか、PCの寿命が近い段階で修理したケースは、別の部分が故障して再度修理が発生するリスクも想定しておく必要があるでしょう。

まとめると、PCの購入から日が浅い、故障の程度が軽い、OSの設定やアプリケーションのインストールなどに時間をかけたくないなどの場合には、修理をおすすめします。

PCを買い替える場合のメリット・デメリット

中古PCは信用できないとお考えの方もいるかもしれませんが、販売店によっては堅実な点検・清掃を行うなど、独自の品質管理体制が整えられています。

特に、丁寧なリファービッシュ作業(中古機器を整備して新品同等の状態にすること)を施しているリユースPCであれば、一定水準以上の品質が担保されます。

安く手に入れられる上に、しばらくの間は故障を心配せずに使用できることが、買い替えの大きなメリットです。

できるだけ高性能なスペックを保てるようストレージやCPU、メモリなどに基準を定めている販売店も多くあります。

2025年10月14日にはWindows 10のサポートが終了することがわかっていますが、Windows 11へのアップデート要件を満たすPCが欲しいという場合でも、中古PCで対応可能です。

ただし、悪質な販売業者が存在するのも事実です。フリマアプリやオークションサイト、実績のない中古品販売店などでの購入はできるだけ避けて、信頼できる販売店を選びましょう。

なお、中古PCを購入する際の注意点やコツについて詳しくは、下記の記事をご覧ください。
企業で中古PCを購入する際の注意点とは?失敗しないためのポイントも解説

また、日本システムケアでは高品質なリユースPCを販売するため、丁寧なリファービッシュ作業を行っています。新品に準じた状態まで再生させた「Re-Value PC」は、官公庁やさまざまな民間企業様にも導入いただいております。

PCに不具合が起きた際も先出しセンドバック方式による代替機交換が可能で、最短翌日には発送可能です。

PCの入れ替えを検討している企業様は、お気軽にお問い合わせください。

>>日本システムケアへのお問い合わせはこちら

PCの買い替え・リプレイスのタイミング

PCに不具合が起きた際、修理と買い替えのどちらを選ぶべきかについて説明してきましたが、修理では修復不可能なケースもあります。

社内で利用するPCに次のような不具合や障害が発生した場合は、買い替えやリプレイスを検討しましょう。

関連記事:「会社PCの入れ替え時期やスケジュールを徹底解説!新しいPCの選び方も紹介

起動までに時間がかかる

OSの立ち上がりが以前よりも遅くなったら、耐用年数を迎えたサインかもしれません。

利用するストレージによっても異なりますが、起動にHDDを利用するPCで約1分、SSDを利用するPCで10~30秒程度が正常な起動時間の目安です。

OSの起動に時間がかかる原因には、起動に欠かせないSSDやHDDの経年劣化のほか、PCの処理能力を左右するメモリの不具合などがあります。

SSDやHDDの換装ができない機種の場合は、買い替えやリプレイスが必要です。また、メモリの不具合は他の症状の原因にもなってしまうため、修理だけでは追いつかないケースが多くあります。

よくフリーズする

フリーズ(操作に対してPCが反応しないこと)が頻発する場合、原因としてPC内部のパーツの経年劣化、システムやソフトの不具合などが考えられます。

システムやソフトの不具合は、削除もしくは再インストールで解決する可能性があります。しかし、PC内部のダメージの場合は、買い替えやリプレイスを検討したほうが良いでしょう。

電源が勝手に落ちる・再起動する

作業中に突然再起動したり、電源が落ちたりするPCは、寿命が近づいている可能性があります。原因として考えられるのは、内部ストレージやメモリの不具合、システムやソフトの異常などです。

フリーズするケースと同様に、システムやソフトが原因のケースでは、削除や再インストールで改善されることがあります。ただし、PC内部の故障が原因であれば、買い替えやリプレイスの検討対象となります。

ファンやHDDから異音がする

PCから発生する異音は、故障のサインの可能性があります。特に冷却ファンやHDDは稼働の頻度が高いため、摩耗しやすいパーツです。

冷却ファンは、ホコリの蓄積による不具合の発生や潤滑油の蒸発などが原因で、普段よりも大きな回転音を立てる場合があります。

また、HDDからカチカチ、カタカタなどの異音がするなら、経年劣化や過度な負荷、落下の衝撃などが原因で発生する磁気ヘッドやプラッタの障害が疑われます。

とりわけHDDの故障はデータ損失につながるリスクもあることから、異音が続くようであれば、迅速な対応が必要です。

本体が熱くなる

PC本体の異常な発熱を放置していると、故障や発火などを招きかねません。

PCには、内部に熱がこもらないように、冷却ファンを作動させて熱を放出する仕組みが採用されています。しかし、高負荷の作業が続いた際の内部パーツの発熱や、冷却ファンの動作不良による冷却機能の低下などの理由で、温度が下がらなくなることがあります。

頻繁な発熱トラブルに見舞われるなら、買い替えやリプレイスを検討すべき時期にきているといえるでしょう。

焦げ臭いにおいがする

PCから発生する焦げ臭いにおいは、危険なサインです。すぐに電源をオフにして、電源プラグを抜きましょう。内部にたまったホコリが焼け焦げている、過熱や過負荷の影響で部品の損傷が進行しているなどの原因が考えられます。

HDDからの異臭であれば、データ損失のおそれもあります。データ救出の方法も探りつつ、速やかに買い替えやリプレイスの検討を進めましょう。

まとめ

PCの耐用年数は、一般的に4〜5年程度です。企業で使用されるPCであれば、3~4年が買い替えのタイミングといわれています。PCの故障が続いたり、危険な兆候が見られたりするケースでは、年数にこだわらず、買い替えやリプレイスの検討をおすすめします。

なお、買い替えより修理のほうがコストを抑えられる傾向にあるものの、故障の程度や部品の調達状況によっては、想定よりコストや時間がかかるケースも少なくありません。安く買い替えたい場合は、中古PCも視野に入れることで選択肢の幅を広げられます。

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