法人で利用するPCは、寿命やWindowsのアップデートにともない、適切なタイミングで入れ替えを行う必要があります。あらかじめスケジュールを把握しておくことで、ダウンタイムを最小限に抑えながらスムーズに入れ替え作業を進めることが可能です。今回は、会社PCの入れ替えの最適なタイミングや具体的なスケジュール、新しいPC選定のポイントを詳しく解説します。

会社PCの入れ替えは「3年」がベストタイミング

法人用PCの入れ替えは、一般的に「3年」が最適です。PCの寿命は約3年とされており、それを過ぎると性能劣化やトラブルのリスクが高まるためです。

法定耐用年数に合わせて入れ替えを行う企業も多くあります。その場合は4年ごとに入れ替えを行います。(※サーバーPCの場合は5年)

また、Windowsの更新スケジュールに合わせる企業では、5年ごとです。

そのほか、下記の症状がみられる場合は、入れ替えのタイミングといえます。

・突然フリーズする
・異音や発熱が発生する
・バッテリーの持ちが著しく悪い
・業務に対して性能・スペックが不足している

古いPCを使い続けると、最悪の場合データ消失のリスクがあります。業務の継続性を保つためにも、早めの対応をおすすめします。

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PCの耐用年数は4〜5年!修理か買い替えかはどう判断する?

会社PCの入れ替えスケジュール

会社PCの入れ替えは、業務に影響を与えないよう計画的に行うことが必要です。

全体のスケジュールは約3か月を目安に、下記の7つのステップで進めます。

ステップ1|新しいPCの選定
ステップ2|データの移行方法の検討
ステップ3|入れ替えスケジュールの策定
ステップ4|ログイン情報、有料ライセンス、移行するデータの整理
ステップ5|既存PCのデータバックアップ
ステップ6|新しいPCのキッティング
ステップ7|新しいPCへのデータ移行

ステップ1|新しいPCの選定

まずは、新たなPCを選定しましょう。CPU、メモリ、ストレージなどのスペックを確認し、業務効率に適したモデルを選ぶことが重要です。

具体的な選び方は記事後半で紹介します。

関連記事:「中古PCの選び方を4つのポイントで徹底解説!

ステップ2|データの移行方法の検討

会社PCの入れ替えをスムーズに進めるためには、適切な移行方法を選定し、余裕のあるスケジュールを立てることが重要です。

移行方法には主に4種類があり、それぞれにメリットとデメリットがあります。

下記の表で、各移行方法のメリットとデメリットを比較しました。

移行方式 特徴 メリット デメリット
一括移行方式 すべてのPCを一度に入れ替える方式 短期間で作業を完了できる

導入後すぐに新しい環境で利用可能

一時的に業務が停止する

トラブルが発生した場合の対応負担が大きい

並行移行方式 旧PCと新PCを同時に運用しながら徐々に移行する方式 業務への影響が少なく移行中にトラブルが発生しても旧環境で対応可能 管理が複雑化しやすい

移行期間が長くなる可能性がある

パイロット方式 一部の部署やチームでテスト導入を行った後、全社展開する方式 移行時のトラブルリスクを低減できる

問題点を事前に洗い出せる

全社展開まで時間がかかる

テスト導入用のリソースが必要

段階移行方式 部署やグループごとに順次入れ替えを行う方式 負担を分散できる

小規模から着手できる

全体の移行に時間がかかる

部署間で新旧PCの環境差が発生する可能性がある

ステップ3|入れ替えスケジュールの策定

決定した移行方法にあわせて、一連のスケジュールを策定しましょう。

この際、余裕を持ったスケジュールを立てることが重要です。入れ替えは時間のかかる作業であり、また、新しいPCの納期遅れなど計画通り進まないことも珍しくありません。

スケジュールを策定する際は、下記の点を考慮しておくと良いでしょう。

・移行準備期間の確保
ログイン情報の整理、バックアップ作業、キッティング(PCのセットアップ作業)など、移行前の準備に十分な時間を割くことで、作業の遅延を防ぐことが可能です。

・緊急時の対応計画
トラブルが発生した場合に備えて、予備のPCや担当者を配置しておけば、業務への影響を最小限に抑えられます。

・段階的な作業割り振り
部署やチームごとに移行スケジュールを調整すれば、負荷を分散し効率的に作業を進めることが可能です。

ステップ4|ログイン情報、有料ライセンス、移行するデータの整理

新しいPCへのスムーズな移行のためには、事前準備が重要です。

まず、既存PCで使用しているシステムやアプリケーションのログイン情報を整理しておきましょう。この際、不要なファイルやアプリケーションは削除し、必要なデータをわかりやすく分類しておくと移行作業が効率的に進みます。

また、ライセンスの引き継ぎ方法もチェックしておく必要があります。ライセンスには別のデバイスへ引き継げるものと引き継げない(新たな購入が必要な)ものとが存在するため、事前の確認が重要です。

このあたりは、下記の記事でも詳しく解説しています。
PCのデータを安全に移行する方法|準備や手順、注意点について紹介

ステップ5|既存PCのデータバックアップ

データ移行中のリスクに備えて、必ずバックアップをしておきましょう。バックアップ方法としては、下記の3つが一般的です。

USBメモリへのバックアップ:少量のデータ保存に適している
外付けHDDへのバックアップ:大容量のデータを保存可能で、移行時も便利
クラウドストレージへのアップロード:複数のPCからアクセス可能で、バックアップ後の管理が容易

ステップ6|新しいPCのキッティング

キッティングは、新しいPCを業務環境に適応させるための重要な工程です。下記のような作業を行います。

・通電の確認
・BIOSのセットアップ
・OSのインストール
・初期設定
・ネットワーク設定
・ライセンス認証
・セキュリティ設定
・周辺機器の接続
・ドライバーやツールの設定
など

必要に応じて、キッティングサービスを利用することも検討しましょう。また、Microsoftが提供する「Windows Autopilot」を活用することで、初期設定を効率化することも可能です。

ステップ7|新しいPCへのデータ移行

キッティングが完了したら、バックアップしたデータを新しいPCに移行します。この際、大量のデータを移行する場合は、時間がかかることを考慮して作業計画を立てておきましょう。

データ移行の方法について詳しくは、下記の記事をご覧ください。
PCのデータを安全に移行する方法|準備や手順、注意点について紹介

長持ちする安全なPCの選び方

法人用PCは、長持ちする製品を選ぶとコスパも良く、計画的な入れ替えが実現できます。

最後に、入れ替えのタイミングで新しいPCを選ぶ際のポイントを紹介します。

ポイント1|必要なスペックを確認しておく

法人用PCを選定する際は、業務内容に応じたスペックを確認することが重要です。下記はビジネス用途の推奨スペックの例です。

CPU クリエイティブな作業(動画編集、3Dモデリングなど):Intel Core i7やAMD Ryzen 7以上
オンライン会議、表計算:Intel Core i3〜i5、AMD Ryzen 3〜5程度
書類作成やインターネット閲覧:Intel Celeron
OS Windows 11
メモリ 8GB以上(複数アプリケーションの同時使用を想定)
 ストレージ SSD 512GB以上(高速なデータ読み書きが可能)

 

CPUは、PC全体の処理速度を決定する心臓部です。Intel Core i3やAMD Ryzen 3以上を選択すれば、業務用のアプリケーションやブラウザの複数同時利用でも、スムーズな動作が期待できます。

ただしデータ分析やグラフィック作成など負荷が高い作業を行う場合は、Core i7やRyzen 7以上の性能が必要です。

Windows 11は、セキュリティ機能やユーザーインターフェースが改善されており、ビジネス利用に適しています。

また、新しいPCを購入する際には、Windows 11に対応しているモデルを選ぶことで、将来的なサポートやソフトウェアの互換性の問題を回避できるでしょう。

メモリは、一時的にデータを保存し、複数の作業を同時に実行する能力を向上させます。メモリは、8GB以上が標準的です。

しかし、複雑な作業や高負荷なアプリケーションを使用する場合、16GB以上を検討すれば、動作がさらに快適になります。

SSD(ソリッドステートドライブ)は、従来のHDD(ハードディスクドライブ)に比べ、データの読み書き速度が大幅に速いストレージです。

512GB以上の容量があれば、大量の写真や動画データも保存可能です。メールやWebサイトの閲覧などが主な用途の場合は、256GB以上のスペックでも問題ありません。

ポイント2|有名メーカーや専門業者から購入する

信頼性の高いメーカーや専門業者から購入すれば、購入後のトラブルを最小限に抑えられます。これらの販売元では、保証やアフターサービスが充実しています。

また、複数台購入時の対応や導入後のメンテナンスなど、法人ならではのニーズに対応したサービスも提供されています。

中古PCを選ぶ場合でも、大手の中古ショップやPCの回収・販売業者など、信頼できる販売元を選ぶことで、不良品やセキュリティリスクの軽減が可能です。

まとめ

会社PCの入れ替えを円滑に進めるためには、計画的な準備をすることが不可欠です。

今回紹介した入れ替えの手順やスケジュール管理を参考にして、トラブルを最小限に抑えつつ、スムーズな移行を進めましょう。

なお、PCの入れ替えが不安な場合や、トラブルを未然に防止したいとお考えの場合は、日本システムケアへご相談ください。当社のLCMサービスでは、PCの入れ替えに必要な新しいPCの購入からデータ移行、キッティング作業、保守運動、廃棄まで、包括的な支援を行っております。

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